トランプ政権は、国境税調整が廃止されるという報道を受け、恒久的な財源の確保に失敗する事が決定的となった。しかも、公約で言い続けてたオバマケアすら廃止できていない。
トランプは共和党の保守派を取り込んで政権を取り、DCのスワンプ(魔窟)を一掃する、という事で支持されてきたわけだ。保守派と呼ばれる人々は、合衆国憲法の文言に従い、小さな政府を目指し、政府と国民の癒着を断ち、自らの財産権を守るための大減税をする、というような考え方が根本にあるわけである。
が、共和党の主流派は民主党などとは比にならないレベルで、企業とズブズブの関係にある。ミッチ・マコネルなど、企業の方を向いて政治している。原理原則を曲げたとしても、企業や補助金で優遇を受ける産業に不利になるような事は絶対にさせない。コーク兄弟に支えられているリバタリアンの連中(ランドポールなど)は、保守派どころではない急進的な事を言っており、如何なる増税にも「NO、NO」の立場である。さらに、名ばかり共和党のメーンやアラスカの代議員は、心底では民主党的な政策に靡いている。
スワンプを灌水すると言っていたトランプだが、メディアや色々な武器を使われ、四面楚歌状態。DCという伏魔殿の中で完全に詰んでしまった感がある。スカラムーチーがパリパスやバノンを責め、トランプがセッションズを批判し始めた。下手にセッションズを批判すると、南部の共和党員に、トランプは北部のヤンキー、といったレッテルを張られる恐れもある。
レームダック化されたこの政権を、今後は誰が支えるのだろうか?いくつかのシナリオが考えられる。
1.トランプが保守派と距離を置く。バノンやスパイサーなどを冷遇している状況をみると、この作戦が練られている可能性は否定できない。が、誰がレームダック政権の受け皿となってくれるのか?民進党の幹事長や党首に誰もなりたくないのと同様、わざわざ地雷を踏みに行く連中はいないと思われる。第一、共和党保守派の連中は怒り狂うのではないか?
2.共和党を裏切り、民主党と手を組む。これをすると、大変なことになるだろう。まあ、大統領の弾劾は避けられなくなると思う。オバマケアよりも極端な、国民皆保険制などを打ち出して来たら、面白いっちゃあ面白いのだが。
3.で、やっぱり、ダラダラとグダグダが続き、何も変わらない訴訟主義国アメリカが残るのだろう。大減税もなし。改革はなし。ロビイストが跋扈し、メディケイドなどの予算を着服する連中はどうにもならない。DC(政府)の勝ち、チャンチャン。
予想は出来ていたこととはいえ、半年で勝負がついてしまうほど、アメリカという国は汚れ切っているのだ。トランプの改革に期待した人たちもいると思うが、マーケットなどを中心に、やがて夢から醒める日がやってくる。DCのごたごたは、遠からず実体経済に間違いなく悪い影響を及ぼすと思う。
自由で民主的な腐敗のないアメリカ。弁護士が蔓延ることなく、無駄な法律で市民を毟り取らないアメリカ。公正な競争が行われるアメリカ。団体や企業が税金で作られた無意味な予算にたかる事のないアメリカ。そんなもんはおとぎ話だったのだろうし、民主党員やマスメディアや知識層も含め、誰もそんなもんは求めていなかったという事だ。
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