私はローマという街とそこに住む人々に嫌悪感を抱いて仕方ない。大都会パリにぶらっと遊びに行って帰って来ると、ますますその兆候が酷くなった。そして、そろそろ、どんなに天気が悪かろうと、シアトルが恋しくなってきた。
しかしながら、シアトルに2008年の秋にいなくて良かったと思える理由が二つある。一つ目は、スーパーソニックスをオクラホマシティーに奪われてしまった今季の開幕時期に街にいる必要が無かった事。そしてもう一つは、100敗以上と低迷する我がマリナーズを見ずに済んでいる事だ。本日は2009年のマリナーズに向けて、苦言を少々言わせてもらう。
シアトルタイムズに、イチローが多くのチームメイトに嫌われており、暴行計画まで画されていた、というショッキングな記事が載った。イチローの態度の悪さ、というよりも、社交性のなさは今に始まった事ではない。多くのチームメイトやメディア関係者に嫌われているのは当然といえば当然だろう。スポーツをしたことが無い私なら、どんなにイチローが良い選手であれ、できればイチローとは一緒の職場では仕事したくない。しかし、プロの世界で社交性の無さ故に暴力を加えるなどというような考え方は、リグルマン監督が言う所の中学一年生のメンタリティーだ。まあ、Goeff Bakerも地方紙のスポーツ記者からの出世を画策して、色々と面白おかしい記事を供給する必要があるのだろう。
しかしながら、ベーカー記者はマリナーズ番として色々興味深い指摘をしており、日本のメディアでは取り上げられないマリナーズが直面する大きな問題についても深く追求している。
以前このブログでも書いたが、マリナーズの一番の問題はフロントとGMバベシの戦略無きチーム作りであった。そもそも、オーナーである任天堂の山内がスポーツとしての野球に興味がないので、このチームに明確な指針は無い。GMバベシは2008年のシーズン中盤にクビを飛ばされたが、フロントは任天堂出身のハワード・リンカーン及びチャック・アームストロングと変わる事はない。
だが、戦略や経営指針の無さの話は、一昼夜にして解決できない。ただ、直ぐにでも解決できる処方箋もある。つまり、チームメンバーの一新だ。フロントの責任ではあるが、明らかに力が劣る選手に対して長期契約の多額の賃金を支払っていたのは問題だった。セクソン、バティスタ、シルバ。枚挙に暇が無い。
しかし、根本的な問題としてベーカー記者が指摘しているように、キャッチャー城島健司の問題はマリナーズのネックとなっているようだ。城島にマリナーズの捕手をさせる限り、チームに将来は無い。私は個人としての城島という男が好きだ。シアトルの日本人コミュニティの中でもすこぶる評判は良いし、城島と付き合いがある人達も城島の男らしさを買っている。だが、チームに城島が必要かどうかは全くの別問題である。
城島の適応力の無さにはがっかりした。当初は日本的なやり方を大リーグに浸透させる、と日本のメディアで紹介されていたので、私は非常に期待を持って観ていた。しかし城島は自分の「独創的な」やり方を固執する余りに、先発投手を中心に総スカンを喰らっている。現に城島がミットを構えるときの投手のスタッツを見て貰えば良い。いかに城島がキャッチャーとして問題があるかが解る。守備率や盗塁の阻止率で城島の守備力スタッツは光っている様に見えるが、キャッチャーとして味方投手を助ける能力こそがキャッチャーの守備能力であり、残念ながら城島のキャッチャーとしての能力は著しく欠如していると言わざるを得ない
日本メディアでは言葉の差などで苦悩している城島の姿を美化しているようである。あたかも、マリナーズの投手陣のERAが低い原因が、投手が城島の指示に対してわがままを言っているから、のような偏った報道さえ目にする。酷い物では、日本人であるが故に差別的な対応を取られている、とさえ書かれている。しかし、私に言わせてもらうと、城島は日本人であるからという理由だけで逆に優遇されている。しかも、日本での経験を積んでおり、給料や契約面でも破格であるが故に、コーチやチームメイトからも一目置かれている。しかし実態は、城島はキャッチャーとして失格の烙印を押されてた融通の利かない選手である。
確かに、マリナーズの投手陣には能力的に劣る人間も多数混じっている。が、マリナーズを解雇された後、他チームで格好をつける投手が多いのも事実だ。城島相手に投げる多くの投手が、自己の本来のERAを下回っている。モイヤー、ワッシュバーン、ベダード、シルバ。城島に駄目押しをする投手は多い。勿論、若手を中心に城島との相性が良い選手がいる事も事実だ。城島の不必要に散らす指示は、若手ピッチャーの教育目的には意外と良い可能性もある。だが、城島のリードは球数を減らさなければいけない先発ピッチャーにとっては納得がいかない。それは日米文化の違い云々の問題ではない。郷に入れば郷に従って、結果を残してこそプロなのだ。日本のオールスターとしてMLBにやって来て、マスメディアにもかわいがられ、大きく勘違いしているだけだと考えられる。「 チームメイトが本来の働きをしていない」、などと他人に責任を擦り付けるような発言も目立つが、先発投手陣に本来の働きをさせていない諸悪の根源は城島である可能性が極めて高い。
城島はシーズン途中に山内の方針で3年契約をした。だが、マリナーズファンの私としては、城島にはキャッチャーとしてチームに残って欲しくない。クレメントを正捕手にするのは勿論、控えとしてでさえもベテランのジャーミー・バークと再契約して欲しい。百歩譲って、日本のメディアが指摘するように日米の違いに慣れていないが故に結果を残せていないとするならば、城島がタコマに行くのが筋だし、ウインターリーグに参加して、一軍のキャッチャーとして活躍できるレベルになってから帰って来るべきだ。恐らくそれは、プライドが許さないであろうから、あり得無いだろう。
キャッチャー以外のポジションであの打撃内容(四球が少なく、ダブルプレーが多い)では年棒に全く見合わないが、オルタナティブがいない状態であれば、一軍でDHや一塁を守らせてもいいかも知れない。ただ、それも、打撃コーチとしっかり相談してオフシーズン中の調整が必要になる。だが理想は、潔く自らダイエーホークスに帰って欲しい。
城島さえいなければ、来期はローランド-スミス、モロー、フェルナンデス、そして怪我から復帰できるであろうベダードで先発陣がしっかりする筈だ。打撃の上手いリーダーシップのあるベテランを一人入れて、どうにかイバニエスを保留させ、不動の一番バッターイチローを中心に、徹底的に繋げる野球を目指せばマリナーズが浮上する可能性も出てくるだろう。しかし、何よりも守備の要であるキャッチャーをどうにかしなければマリナーズの再建は難しい。
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