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10/15/2006
ベトナム麺を食べ続ける理由
私は、タオ(道)イズムを継承するがごとく、できるだけ色々な食材を食べるように心がけている。レストランではなるべく同じものは食べないようにしている。それは、栄養面を考慮してではなく、寧ろリスク回避をしているのである。つまり、食べ物は基本的に体に悪いので、同じものを食べ続けて体の中に毒物などが溜まるリスクを軽減しようとしているのだ。
健康面を考慮すると、外食ほど怖いものはない。特にランチは恐ろしい。一体何が入っているのか解らないからだ。6-7ドルほどで、パンチを効かせた美味しい物が運ばれてくる。癖になりそうな濃厚な味を提供してくる店も多々ある。しかしそれらの店が、自然食品からスープを取っているとは考えられない。恐らく、様々な調味料を組み合わせて我々の舌に刺激を与えようとしているのであろう。油、砂糖、塩分は必要以上に使われているし、化学調味料も半端でなく入っている。肉や魚、野菜、卵なども安いものを使っているのは明らかであり、どのような経路で運ばれているのかは不明である。
しかし、それでも、ランチを食べに行くのは楽しいものだ。B級グルメを心から愛する私にとって、安物のランチが奏でる交響曲の響きこそが人生の楽しみである、といっても過言ではない。私がシアトルに移ってきた頃は、テリヤキ、中華料理、タイ料理、ベトナム料理、ハンバーガー、メキシコ料理、インド料理、ケバブと、徹底的に食べ尽くして楽しんだものである。しかし、一箇所に長くいればいるほど、マンネリ化の波は避けることが出来ない。旅行気分の非日常が、やがては日常生活に変わってしまい、そして人々は楽しみを忘れてしまうのだ。
経済的な理由、時間的な制約、一人で食べに行ける簡便性、健康に対する配慮などを総合的に考慮した結果、私はシアトルでファー(Pho)ばかりを食べる人間になってしまった。英語の綴りを見て、フォーと発音する人がいるが、正確には誤りである。ファー・ボーとはベトナムの牛肉麺である。米から作った冷麦に似た形の麺を用い、牛の骨で出したスープに入れる。ファーは、恐らくフランスの植民地時代に、フォンドボーなどのスープの取り方に影響を受けた料理であると思われる。
いつも行く店は決まっている。一人でドアを開け、人差し指を立てて、一人であることをアピールする。愛想の悪い親父が、ごった返した店内の空いている席を指差す。私は腰掛けて防水ジャケットと帽子を脱ぐ。メガネも湯気で曇るのでバックパックにしまう。店員がすぐに香菜とクリーム入りのパフが乗った皿を持ってくるので、「14、ミディアム」と頼む。同店は、基本的にファーしか提供しないが、肉の種類によって番号が割り振られている。14番は胃や軟骨などを含め色々な種類の牛肉が入っているのだ。私は小皿に海鮮醤(大豆を発酵させて作った黒く甘辛いソース)と唐辛子オイルを用意する。注文して1分も経たないうちにファーが運ばれてくる。店のドアの辺りに並ぶ人達を見ると、早く食べなければいけないプレッシャーに苛まれる。
まず、赤い生の牛肉をスープに全て漬かる様に混ぜる。生の牛肉を見ても、最近では狂牛病の話などが頭に霞む事もなくなった。タイ・バジルを千切ってスープの上に浮かせ、しゃきしゃきのモヤシも全て入れる。ライムを搾り、ハラペーニョ(緑の唐辛子)の種を取り除いて入れる。少し色が変わった肉を、海鮮醤に少しだけ漬けて食べる。麺を食べ、蓮華でスープを飲む。スープは牛骨をベースとしており、魚醤などとともに、ブイヨン代わりとしてMSG(味の素)が入っているのは明白だ。体に悪いかも知れないが、味は悪くない。量が多いので、スープの味に飽きたら、適度に唐辛子オイルを入れて、最後まで食べる。
麺が終われば、クリーム・パフを食べる。やはりベトナム料理は、フランスの影響を大いに受けている。フレンチ風ドリップ珈琲練乳入りを頼むこともあるが、ウィークデイの忙しい時はパスだ。お腹一杯になり、5ドルでお釣が返って来る。この店はチップを払う必要もない。1999年の春に初めてこの店を訪れた。シアトルを離れた時期もあったが、現在も通い続けている。健康のために危険は回避しなくてはならないとは知っているが、この味でこの値段だ。旨い安い、そして早い。危険は承知でも回数を減らす事は難しいだろう。
Than Brothers Pho
4207 University Way N.E.
Seattle, WA 98105
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1 件のコメント:
Phoはマジにうまい!。だれか日本に安く店出してくれ。
でも、ファーを発音するとき、いつも気をつけなあかんのよなー。きちんと発音せな、有名なFwordになってしまう。。
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