10/21/2006

マリナーズが勝てない理由


シアトル・マリナーズを愛する者として、昨今の不甲斐なさは非常に腹立たしい。マリナーズがメジャー記録の116勝をあげ、破竹の勢いだった2001年にはセーフコフィールドに頻繁に通ったものだが、今シーズン私は2度しか球場に足を運ばなかった。実際に、ESPNのアテンダンスレポートの統計によると、セーフコフィールドは2001年には平均4万3300人の観衆を収容し、メジャー30球団中1位であった。2002年は93勝したものの、アメリカンリーグ西地区で3位に終わりプレーオフ出場は出来なかったが、前年の余波を残し収容観衆1位(43739人)を記録維持した。2003年はヤンキースに首位の座を明け渡し、2位に陥落(40351人)する。そして、2004年は10位(36305人)、2005年は12位(33619人)、2006年は15位(30626人)と凋落していく。何故そんなことになったのだろうか?やはり勝たないチームを見に球場に行っても面白くないのだ。

勝たないのはマリナーズが弱いからだろうか?そう結論付けるのは簡単だが、実際の問題はそうではないだろう。マリナーズの資金力が乏しいという人もいるが、実際マリナーズはメジャー球団中9位のサラリーを支払っており、そう悪くはない。負け体質になっている、リーダーが不在だ、などと言う人もいる。だが、私が思うに、一番の問題はアメリカンリーグの西地区の他球団が強すぎるのだ。

オークランド・アスレチックスは地味なチームだ。チーム打率は話にならないくらい低いし、ジトーやストリートがいるものの防御率も4点台で及第点ではあるがまあまあだ。なのに、勝ち続けるのだ。このチームは徹底的に統計を使うと言われている。選手の能力や相手選手の弱点を、コンピュータで統計学的知見を駆使し、徹底的に洗い出しているという。年棒に見合わないスター選手はどんどん放出する。相手選手の投げる球の確率や、特殊な状況下での作戦なども全て確率を知っているという。これがシーズン中盤からアスレチックスが急に強くなる原因であるらしい。選手を信じて単純な野球をするマリナーズは、今季アスレチックス相手に大きく負け越した。

ロスアンジェルス・エンジェルス・オブ・アナハイムは、2003年にオーナーがウォルトディズニー社からメキシコ系のモレノ氏に変わって以来、資金を惜しまず補強するようになった。FAでゲレロやコローンを獲得した。優勝して以来、怪我人が多かったり、ケミストリーがかみ合わなかったりしているが、地力があるチームである。

テキサス・レンジャーズはマイケル・ヤング、マシューズJr.そしてテキシエラと好打者が揃っている。このチームの課題はピッチャーだ。大塚晶則が抑えとして台頭して頑張ったが、先発も中継ぎも足りない。オークランドやアナハイムと比べると見劣るものの、悪くないチームだ。

我がシアトル・マリナーズについて言及する。城島健司の加入と、二遊間のロペスとベタンコートの著しい成長で、期待できる筈だった。しかし、結果は西地区最下位。結局、問題はGMのバベシと耄碌監督のハーグローブだろう。広いセーフコフィールドは、サンディエゴのペトコスタジアムに次いで、極端に投手に有利な球場である。2001年のマリナーズは、鈴木一朗をはじめ、ジョン・オルウッド、エドガー・マルティネス、ブレッド・ブーンといった、好打者を揃え、スモールベースボールに徹した。振り回すのはキャメロンくらいのものだった。先発はガルシアとモイヤーが計算できるくらいだが、抑えの佐々木主浩に、ジェフ・ネルソンとアーサー・ローズが繋ぐという必勝パターンが出来上がっていた。投手有利なのだから、スモールベースボールできっちり守れば勝ち星が上がるのだ。何故、バベシはこのような、スモールベースボールに徹するような球団を作ろうとしないのか?セクソンやベルトレのような、弱いナショナルリーグのチームで活躍した、振り回すだけの選手を主軸に使うのだろうか?一方で、中継ぎ陣が薄いという指摘に対しては何も答えを出さない。長谷川滋利以降まともなセットアッパーはいない。まずはプレーオフに行けるチーム作りをするなどと呑気なことを言っているが、ワールドシリーズを勝てるチーム作りをしなければ、アスレチックスやエンジェルスに競り勝つのは難しい。

監督の耄碌ぶりが球場への足を更に遠のける。今季は采配のせいで最低15個は星を落とした。明らかに悪いエディー・グアダードにクローザーの座を任せ続け、黒星を重ねた。打てないエベレット、セクソンやベルトレの打順を変えない。ピネイロが明らかに調子を崩しているのに、先発を続けさせる。見るに耐えない温情采配が続く。温情采配とは、いつもと同じ作戦を繰り返すということであり、アスレチックスはここぞとばかりに統計データをきっちりと利用し、マリナーズを鴨にした。テレビで見ていても、頑張っている他の選手たちの意気込みが下がっているのも感じ取れる。マリナーズは、イチロー、城島、イバニエス、ブルサード、ロペス、ベタンコート、モースといったクラッチヒッターや好打者できちんと点数を入れられる打線に組み替えるべきだ。ホームランはいらない。先発もヘルナンデス、メッシュ、ワシュバーンと白嗟承に、もう一人信頼できる絶対的なピッチャーを組み込む必要がある。ジャイロボールを投げる松坂大輔を獲るのを期待する。そして、何よりも、JJプッツに繋ぐ中継ぎ陣の強化は緊急課題だ。イライラしてきたので、これ以上は書かない。兎に角、ハーグローブは追い出すべきだ。選手を信じるオールドスクールの野球では、コンピュータで統計を駆使した野球には勝てない。

そんなマリナーズでも、インターリーグでナショナルリーグ相手には勝ち星を挙げ続けた。ナショナルリーグでは、アメリカンリーグで通用しない選手が活躍できる。今季のインターリーグが、アリーグの154勝98敗(.611)を見れば、ナショナルリーグがいかに弱いかははっきりしている。マリナーズもナショナルリーグに行けば、毎年プレーオフに進めるかもしれない。まあそういう理由で、セントルイス・カージナルスなどがプホルスの存在だけでワールドシリーズに駒を進めてきたのだろう。マリナーズでは全く活躍できなかったスピージオなんかが先発で出ているではないか。監督同士が親友など、それはそれで楽しみなワールドシリーズだが、ナショナルリーグとアメリカンリーグの力の差は非常に気になる問題だ。

2011 マリナーズ崩壊

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