東京の新築分譲集合住宅、所謂マンション、の価格がバブル期を超えたと騒がれている。それをもって、やれバブルだ、みたいな話が新聞を賑わせている。この辺りについて、私がどう考えるかの考察を書きたい。
まず、不動産に関しては、フェアヴァリューをキャッシュフローの考え方で計算できる。詳細は面倒くさいので、大雑把に計算すると「物件(土地)からの利益÷利率」である。「収入」ではなく、「利益」である。例えば、一か月に20万円の家賃収入が入る物件を見てみよう。月20万X12か月=年間240万の収入で、不動産手数料や空き家率や固定資産税、修理積立金を引いて、年間180万円が手元に残り、それに所得税うんぬんを勘案すると、手元に120万の利益が残るとする。それを長期的な年間の利率で割ったものがフェアバリューとなる。利率とは何か?という事が物凄く大切なのだが、これは、あなたが一体どのくらいの利率を求めているのか、という哲学的な話になる。
金が余っていて、銀行に置いておくだけ。フラット35で年利は0.5%という人であれば、120万÷0.005=2.4億円のフェアバリューになる。
0.5%が続くことはないので、長期的で見れば1%くらいだろうというのであれば、120万÷0.01=1.2億円のフェアバリューになる。
株で運用すれば普通は5%くらいつくだろう、と考えるなら、120万÷0.05=2千4百万円だけとなるわけだ。
この値段よりも安ければ、それはお得な物件という事になるし、高ければ高すぎるとなる。私の計算では、都内でこの利率が2%以下くらいに下がっているんじゃないかな、と見ている。利率が2%以下だけというのは、長期的な付き合いとなろう不動産取得に対する大きなリスクに対して、得られるものが少なすぎる気がする。(注:不動産屋が提示する利回りは手数料や税金をきちんと見積もっていない事に注意が必要)
世界を見回すと、完全に不動産がバブっている町がある。バブっているというのは、フェアヴァリューを無視して、値上がりを見越して、ババ抜きをしている状態をいう。香港、マンハッタン、サンフランシスコ/ベイエリアなどである。ロンドンやソウルもそうだろう。そのあたりと比べて、東京は安すぎるというが、これらホットな街と東京は比べられるのだろうか?他の町と比べると、東京の方がむしろ高い。統計に関しては、集合住宅一戸の値段であり、NYの物件は東京の物よりもずっと広い。100平米で狭いと言っているNYの部屋と、50平米の東京の新築を比べることに意味があるとは思えない。
周りの東京で働く中国人だが、親からのプレッシャーが強く、働いているのであれば早く家を買え、と言われている。日本の不動産事情とかに疎く、結構つかまされていて、可哀そうだ。売る方も売る方だが。
値段に見合う良い物件があれば買えばいいし、そうでなければ賃貸で大丈夫そうだ。下級サラリーマンの懐状況を考えると、東京圏で家賃が急激に上がるというようなインフレ懸念は、起こりそうにないのだから。
東京の物件、投資妙味が全く無く、焦って買う必要、ありません。それでも買いたい人はご自由に。しかし、変動金利を使う人。大変勇気があるな、と。人生は一回きりなんだから、住宅ローンでそんなにリスクは取らない方が良いですよ。
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