マレーシア航空機に関するCNNの報道を見ていて腹が立っていた。無茶苦茶な説明ばかりだし、政府や「関係者」の話の裏を取らずにそのまま報道している。アメリカのケーブルニュースのレベルの低さを思い知らされた事は既に先日書いている。証拠もない勝手な推測を憶測して、機長は犯人扱いである。スパイ映画でもない限り出来ないような事を報道したり、陰謀論を言い立てるメディアまである。「アホちゃうか?」と言うのが正直な感想である。
で、やっとまともな仮説に出会うことが出来た。
マレーシア航空機は、管制官と連絡を取り、副操縦士が「オーライト。グッドナイト。」と言った後、不慮の事故に襲われた。それは、電気系統の火事である。それによって通信機能などが使えなくなり、地上との交信が不可能となった。黒い煙が充満し、緊急着陸を余儀なくされた。で、経験豊富な機長は、飛行機をランカウイ島の飛行場に緊急着陸させようと努力する。或いはペナン島のジョージタウンかも知れないが、位置的にはランカウイで間違いないと思う。ランカウイには飛行訓練学校もあり、マレーシア人のパイロットであれば、慣れ親しんでいる空港であるからだ。電気系統に支障が発生したという物の、エンジン系統は問題がない為、飛行機は機長の操縦に通常通り反応し、大きく進路を変える。また、電気系統以外の火事であったとしても、火事の疑いが確認されれば、ショートなどが原因である可能性があるため、パイロットはただちに電気系統を切らなければいけないという話である。
やがて黒煙が充満し、酸素吸入装置も黒煙の難を逃れず、数分間の内に乗員乗客は煙で気を失う。奇跡的に電気系統以外の小さな火事以外に故障が無かったボーイング777は、その後「幽霊飛行機」或いは「ゾンビ飛行機」として、つまり乗客乗員が死亡したにもかかわらず自動操縦で燃料が無くなるまで飛び続け、南インド洋に墜落した。南インド洋は主要な交通航路から外れているため、レーダーも無ければ、上空を通過する飛行機や付近を航行する船も少なく、なかなか発見されない。オーストラリアのパースとマダガスカル島の間を捜索すれば良いのだが、範囲が広すぎて難しいのが現状だろう。機体が沈んでしまっていれば、発見すらも絶望的である。
航空機の火事自体は珍しいことではない。タイヤが燃えたケースだが、ナイジェリア航空2120便の事件などが思い起こされる。ここまで酷くないにせよ、密室内では小さな火事ですら、乗客乗員の命を危険に晒す。人は煙で死ぬ。火で死ぬわけではない。また、何らかの理由で気圧などが急激に変わっても、すぐに全員気絶、そして絶命してしまう。ただ、それらのマイナーインシデントでは、航空機の飛行能力に問題を起こすことはなさそうだ。
航空機ダイバートが副機長の最後の「オーライ。グッドナイト。」という交信の前にプログラムされていたなどとも発表されているが、この情報こそ信頼性を疑う。どのような情報を元に、どのように推測して結論付けたのかが全く明らかにされていないのだ。マレーシアの閣僚が、副機長の最後の交信前にトランスポンダーが人為的に切られたなどといった発表も、後になってから訂正されている。私は、単純にマレーシア側から上がって来る情報の質が信用できないし、マスコミが面白おかしく加工している可能性があるので、暫く様子を見たい。マレーシアは、他の国よりは若干マシだが、所詮は半独裁国家であり、情報の透明性などを大切にする国ではない。いずれにしても、内外のマスメディアによる馬鹿な陰謀論に踊らされる必要はない。
事故の原因が乗客による人為的な物なのか、機器の故障であったのか、他の原因なのか?それらが判明する事が可能だとしても、途方もない時間がかかるだろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿