昨日、NHKが中国共産党寄りのフェークニュースを流しているという記事を書いた。(その後、習近平が「中国共産党と韓国は80年前に一緒に日本の帝国主義と戦って、今の平和な世の中の礎となっている」みたいなプロパガンダを、おちょくることなく報道したNHKは売国通信社です。)
その記事に対し、アメリカが石油資源の覇権を狙っているのは真実であるというような指摘を受けた。金属成分や硫黄を大量に含む、超重質のオリノコ・スラッジ原油は、ガルフの製油所であれば効率的に精製できる。その結果として、ベネズエラの経済を立て直すためには、ベネズエラの原油がアメリカに大量に売られるのは間違いないと思われる。これをもって、アメリカがオイルのためにベネズエラを攻撃したというのは、本末転倒である。ただ、オイルのビジネスの利益も見込めるがゆえに、ベネズエラの独裁者を排除する選択を採用したというのは真実であろう。あくまでも、オイルは二義的な話である。
シェール革命前のアメリカでは、テキサス州西部などで採掘されていたライトスイート原油が枯渇すると見込まれていた。製油が簡易な高品質の原油が世界中で枯渇すれば、糞のような品質の重質サワー原油を使わざるを得なくなる。カナダのオイルサンド、メキシコのマヤ、そしてベネズエラのオリノコベルトというように、アメリカの近隣国には豊富に重質原油の資源がある。
であれば、ディレードコーカー(熱分解)やハイドロクラッカー(水素分解装置)を携えた重質原油に特化した原油精製設備を整えれば、利益が出ると見込んだ。安い重質原油を輸入する。普通の製油所であれば、アスファルトや重油が大量に取れて、軽油やガソリンが取れる量が少ない。が、熱分解や水素分解を加え、アスファルト成分からガソリンを極限まで取りつくす。そうすれば、例えばバレル10ドルの重質サワー原油に対し、バレル50ドルのガソリンを精製すれば、とんでもない利益が得られるわけである。そのような高度な精製所は世界で少なく、競争相手も少ないだろう。このような理由から、メキシコ湾岸には重質原油用の精製施設が雨後の筍のように作られた。そして、カナダやメキシコ、ベネズエラから原油を輸入するサプライチェーンが出来上がった。
しかし、シェール革命が起き、アメリカ市場では軽質原油が取れまくることになった。シェールから取った高品質の原油を、重質サワー原油に特化した製油所で製油するという事は、キャパの無駄である。たとえがちょっとずれるが、普通のエンジン車にハイオクを入れるようなものだ。折角高額な投資をして、重質油精製ビジネスに特化しようとしたのに、高品質な原油を精製すると損をするため、アメリカ国内では近隣から輸入した重質原油を精製し、シェールはアジアやヨーロッパなど、貧相な精製所しか持たない国に売ることで、商売を成り立たせた。
この後は、端折るが、チャベスのせいで、1990年代に民営化された原油ビジネスが再び国有化され、エクソンやコノコフィリップスが撤退した。アメリカに原油を売れなくなってしまった。アメリカの精製施設はキャパを持て余し、ベネズエラ国内ではオリノコスラッジを精製できる製油所のキャパがない。ベネズエラの石油ビジネスは急速に衰えてしまった。
ベネズエラのせいで、湾岸の石油精製所のキャパは満たされていない。アメリカの石油ビジネスには、糞のような品質の重質原油を輸入することが必要である。ロシアの重質油とかにも頼ったが、その線も断たれた。カナダのオイルサンドだけでは足りないのだ。
今後、オリノコスラッジは確実にアメリカの湾岸にやってきて、精製されることだろう。
もう一度言うが、この事が一義的にマドゥロの逮捕につながったわけでは決してないが、オイルのディールは、アメリカにもベネズエラにもウィンウィンのディールである。トランプとしては、一義的には自由と民主主義を取り戻し、ベネズエラからの社会上(麻薬問題や通貨問題)や外交上(キューバやイラン)の脅威を取り除いたわけだ。しかし、MAGA系の単純な人たちを説得するためには、このディールは儲かりますよ、というサイドストーリーも必要だったわけである。そういうわけで、オイル覇権のストーリーはあくまでも二義的である。
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