ルース・ギンズバーグが死んで、最高裁判事の枠が一つ空いた。遅かれ早かれ、議会は新しい最高裁判事を選ぶことになる。最高裁判事の席は現在は9つあり、保守がクラレンス・トーマス、ジョン・ロバーツ、サミュエル・アリート、そして、トランプ政権下で選ばれたニール・ゴーサッチとブレット・カバーノの五人である。一方、リベラル派はスティーブン・ブライヤー、ソニア・ソトマイヨール、エレナ・ケイガンの三人に減ってしまった。
本来であれば、大統領も上院も共和党が占めているので、共和党が保守の最高判事、それも多分女性の候補を選んで、保守六人対リベラル3人になってチャンチャンで終わるという考え方になろうが、そうは問屋が卸さない。
オバマ政権の末期、アントニン・スカリアの死去に伴い、オバマはメリック・ガーランドを指名した。しかし、上院は共和党が占めていたので、ミッチ・マコネルがそれを通さず、空きができたままトランプ政権を待つことになった。これをレイムダック政権下での紳士協定だと民主党は美化しているようだが、共和党はねじれ国会による現象だと解釈している。今回、共和党が強硬に保守派の判事を指名すると、民主党がごねるのは明らかだ。
最高裁判事の席が9つというのは、憲法で規定されていない。従って、民主党はもし共和党が強硬に保守派の判事を選んだ場合、大統領選挙に勝てばリベラル派の判事を二人増やす、といった姑息な手段も考えている。
最高裁判事には任期がない。死ぬか、自ら引退するかしないと、席が空かない。アメリカの司法は、大統領や議会から本当に独立しており、最高裁判事の数により、通したい法案が、憲法に違反するという判決を受けて通らなくなる可能性があるのだ。
最高判事に何故リベラルや保守というのがあるのか?民主党や共和党に属しているのか?このあたりの事はあまり日本では議論されていない。これは、憲法などの法律をどのように解釈するかの姿勢によるものである。保守派の判事というものは、憲法に記載してある文言を、極端な話、一語一句をそのままの意味で解釈するのである。一方で、リベラル派の判事というものは、憲法に記載してある文言の意味について、その当時の社会状況などを鑑みて、どういう意図で作ったのかという事を考慮し、現代社会ではどうなるのかという着色をする。それにより、武器を持つ権利や堕胎する権利などの解釈が変わってしまうという訳だ。
そういう意味で、最高裁判事の補充というのはアメリカ社会にとって、大統領選よりも重要であると言っても過言ではないわけである。
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