グレートブリテンがヨーロッパ連合から出ていくという国民投票が僅差で可決された。スコットランドは親EU,そして北アイルランドとウェールズの一部もEUに留まりたい。ただ、イングランド地域はロンドンなどの都市部を除くとEU離脱派が大多数を占める結果となってしまった。シルバー民主主義と負け組の静かな反乱をここでも見る事となる。
まさか英国民がアホな選択をするとは思えず、私はポジションは取っていないという物の、金曜日には株が騰がるだろう、と踏んでいた。が、昨日の現地時間深夜くらいからの離脱派の躍進ニュースで、円高は進むわ、世界中の株価は下がるわ、金は騰がるわ、原油は下がるわ、国債の利率は下がるわで、久々に金融ニュースが面白くなっている。
今回のブレグジストだが、少なくとも五点の問題がある。一点目は、経済的に上手くいってそうなイメージがあった大英帝国でさえ、労働者の不満が鬱積しているという事だ。搾取されている負け組の連中が、「ファックユー、後は野になれ山となれ!」と考えていることが分かった。世界中の政治家の間で「そういう事を票田に使うのもアリだ」という低モラルな認識が拡がってしまう。二点目に、ヨーロッパ本社をイギリスに置いていた企業は、フランクフルト等にヨーロッパ本社を移転させる必要が出て来る。必ずしもこれはマイナスにならないかもしれないのは、イギリス支店はロンドンに残さざるを得ないからだ。アジア本社が集積していた東京が、香港やシンガポールなどにアジア本社を奪い去られたような出来事が起こるのだろう。三点目は、若い人達はヨーロッパで簡単に働けなくなるし、国際結婚や就学機会なども限定されるようになってしまう。長期的に見て、これはイギリスの労働者の質を落とすことに繋がる可能性もある。四点目に、スコットランドや北アイルランドが近いうちに独立し、ヨーロッパに入る公算が大きくなった。大英帝国瓦解の第一歩と言ったところだろう。そして、五点目として、イギリスと言う世界のリーダーと考えられている国が、民主主義の欠点を用いて悪い前例を作り出してしまった。誰も信用できない、だから反抗する。そういう流れを許せば、責任も糞もなくなってくる。イギリスがOKであれば私たちも追随しよう。そう考える小国が出て来ることは間違いない。間違いなくギリシャやポルトガルがユーロ圏を出ようと画策するだろう。
冗談抜きで、私はブレグジストの結果に衝撃を受け、困惑している。ここにブログを書き始めてからでは、最も衝撃度が高いニュースだと言っても過言ではないかもしれない。世界の政治経済に与える今後の影響は、津波やサブプライムの比ではないと思う。私はCNBCを一晩通して見ていたのだが、ニュースに出て来るアメリカ人たちは選挙結果を苦笑していたが、いつもは斜に構えているお高いイギリス人たちがかなり焦っていたのが象徴的だった。世界の大混乱への第一歩とならない事を、切に願う。そして、負け組の人達から選挙権を取り上げるような方法を真剣に考える必要があるのではないか?反インテレクチュアル的な流れはどこかで止めなければ、これは世界中に伝染してしまう。
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