これは2012-2013シーズン・プレイオフの記事です。2014年の記事はこちらから
2012-2013のNBAファイナルはヒートとスパーズの一戦となっている。インディアナとメンフィスはディフェンスの鬼チームであったが、残念ながら両チームともカンファレンス決勝で姿を消してしまった。(私は内心、スパーズ対ペーサーズの決勝になるのではないかと冷や冷やしていた。いわば、ミュンヘン対ドルトムントのような地味な試合になる。スパーズ対ヒートなら、ミュンヘン対バルセロナである。)一方のヒートとスパーズは、ディフェンスも得点力もある、バランスの取れたチームという事が出来ると思う。東コンファレンスで一番強いのはヒートで間違いないし、西で総合的に一番強いのもスパーズで間違いない。つまり、頂点と頂点のマッチアップとなったわけだが、イメージとしては、派手さが売りのヒートと地味な組織的なバスケをするスパーズの対戦という事になる。後述するが「面白さ」という意味のマッチアップ的には微妙である。
既に第一戦目が終わっており、後出しじゃんけんの気味があるが、マッチアップを精査したい。
PG トニー・パーカー(ジェノブリ)対チャーマーズ(ノリス・コール)
SG ダニー・グリーン(ジェノブリ)対デュウェイン・ウェード(レイ・アレン)
SF レナード対レブロン・ジェームス(バティエ、ミラー)
PF ティム・ダンカン対ハスレム(ジェームス、ボッシュ)
C スプリッタ―(ディアウ)対クリス・ボッシュ(バードマン)
派手さと得点力が売りと思われがちなヒートであるが、実はディフェンスにかなり力を入れている。一方、ディフェンスが売りと思われがちなスパーズであるが、結構得点力がある。
ポイントガード対決は、パーカー擁するスパーズが圧倒的に有利である。ヒートは、他の選手にディフェンスが回っている間に、3Pを入れるくらいしかできない。
SGであるが、ヒートのウェードは微妙である。怪我の影響もあるかもしれないが、攻撃的には数年前の怖さはなくなった。ウェードが巷ではディフェンスが巧い選手として扱われているが、私はその意見に与しない。確かにウェイドは凄いブロックショットを決めたりするが、マンツーマンで張り付くような(トニーアレン、バティエやセフォロシャを思い浮かべて貰うとよい)ディフェンスはできない。レイ・アレンは3Pを含むシュートの達人であるが、ディフェンスがかなり「ザル」である。一方、スパーズのグリーンもスリーポイントの達人だ。ただ、6人目の男としての役割で使われているが、スパーズの本当のSGはジェノブリだ。ただ、このプレイオフでのジェノブリの不調さが酷い。ジェノブリが復調すればスパーズが圧倒的に有利である。ウェイドはスパーズにとっては怖くない選手である。
SFであるが、レブロンが圧倒的に有利だが、レナードの身体能力は高く、ディフェンスは巧い。執拗なディフェンスにレブロンは苦しむと思う。ただ、苦しんでも30点くらいとるのがレブロンである。一方、レブロンはレナードをディフェンスするのだろうが、レナードはスパーズの攻撃システムの中では「衛星」の役割に過ぎない。レブロンはティム・ダンカンなどへのダブルチームの役割に回るのだろう。それはリソースの無駄だと思う。
PFはティム・ダンカンが圧倒的に有利だ。センターのバードマン(クリス・アンダーソン)などがダンカンをディフェンスするかもしれないが、アンダーソンのマンツーマン型の縦ディフェンスではダンカンの攻撃を防ぐのは無理だろう。ボッシュをダンカンにつけようとも、ディフェンス的には微妙そのものである。
センターはクリスボッシュとスプリッタ―というなんとも微妙な組み合わせだ。ディアウが出てきても、主要選手としての扱いではないだろう。ディフェンスの要であるバードマンが誰をディフェンスするべきなのかも明確でなく、マッチアップになっていない。
ヒートの監督、スポウルスタは早急に自チームの誰が誰をディフェンスするのかを明確にしないと、かなり酷いことになると思う。グリズリーズがスパーズに負けたのも、その辺りが原因であるからだ。スパーズの一番の武器は何よりもパポビッチであるのだから。ヒートは明確に三人、ディフェンスに優れた選手がいる。貼り付けるバティエ、身体能力のレブロン、そして垂直ブロックのバードマンだ。この三人をどのように使うのか?監督の戦略をみてみたい。
私がスポウルスタであれば、絶対にディフェンスを固める。アンソニーを投入して最初からをダンカンに張りつけ、禁じ手であるがレブロンにトニー・パーカーをガードさせる。バードマンを早めから使い、スプリッタ―につける。ジェノブリが出てきたら、すぐにバティエを入れる。その三人さえきっちりとディフェンスすれば、後は「普通に」ディフェンスすれば良いのだ。そして、攻撃は無視。個人の力でどうにかなるし、ヒートは3Pを入れられるチームである。スパーズの組織的なディフェンスの前には、戦略を立てても無駄であるからだ。一方、スパーズがシューター揃いのゴールデンステートに結構苦戦したことを思い出すべきである。
スパーズが4-2で勝つと見た。試合としては、見ていて「面白くない」微妙なゲームが続くだろう。何故なら、スポウルスタの戦略に、パポビッチが微妙にミスマッチを仕掛けてきて、チグハグなバスケになってしまうだろうからだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿