今年のNBAファイナルは、紐を解いてみると、例年になく熱い戦いになった。一進一退で、監督同士がお互いの弱点を見つけて、無茶苦茶な点数差の試合が数試合続いた。そして、第六戦、残り5分にはサンアントニオの勝ちが決定したと思ったのだが、レブロンとレイ・アレンがクラッチの3PTを決め、同点で延長戦に突入。そして第七戦の接戦である。軍配はマイアミに上ったが、サンアントニオの品位のあるバスケットボールには敬意を払わずにはいられない。「地味な」試合をする組織バスケのサンアントニオを、レブロンの力でギリギリ捻じ伏せたのだ。
しかし、ファウルも少なく、綺麗なバスケを見られたことは、何よりも価値があった。バスケはこんなにも面白く、深いものだという事を嫌というほど見せてくれた。汚いバスケも、それはそれで面白いが、ここまでクリーンなバスケが決勝で見られるとは思わなかった。
マイアミは結果的にラッキーだったと思う。ボッシュが前半に3ファウルを犯したため、バードマンのプレー時間が増えた。バードマンがいた事でスパーズが攻撃に苦慮した。バティエが3PTを入れまくった事から、ウェイドの代わりにバティエを使う時間が増え、この事もスパーズの得点力を削いだ結果となった。グリーンなどが苦悩した原因も、ディフェンスにある。そして、早い時間帯からレブロンをトニー・パーカーに張りつかせた事で結果が出たのだろう。一方のスパーズは、契約が切れるジノブリを使わざるを得なかった。パポビッチの温情采配ではなかったのか?それとパーカーは足の状態がかなり悪かったのかもしれない。
今回のファイナルで改めて解ったことが数点ある。
1) レブロンはMVPに相応しい、得点力も防御力も兼ね備えた選手である。
2) ダンカンは恐らく、NBAの歴史上、最高のパワーフォワードである。
3) トニー・パーカーはNBAでも最もバランスの取れたポイントガードである。
4) バードマンとバティエのディフェンス力は抜けている。点数が入れられなくても、スターと一緒にディフェンス要因を入れなければバスケは勝てない。
5) レナードは、今後オールスター級に成長する。
6) ジノブリは、終わった。給料には見合わない。36歳だし、仕方ない。それでもイレギュラーなドリブルでのレイアップは健在だった。
7) ビッグスリーと呼ばれているが、ボッシュとウェイドはレブロンの半分くらいしか貢献していない。レブロンと一緒に使う意味がないかも知れない。人気の面でも、コストパフォーマンスが見合うのか?
8) ウェイドとジノブリはパスさえも出来なくなっている。
10月までバスケが無くなる。野球はテレビで見ても面白くないので、スポーツ観戦の回数がぐっと減る季節となる。スパーズはオフにジノブリをどうするのか?多分放出されると思うが、今年の給料をもらえることは無いだろう。