増税だ減税だを政治家が議論する意味が解らない。政治家は基本的に「減税したい」に決まっているのである。政治家としては、選挙で勝つためには減税するしかないのだと思う。
増税などを打ち出す政治家は、狂っている。それは、国の財政の安定のために、党の支持率を下げても良いという、組織として犠牲を払ってまで国民くまなく未来の安定を目指すという、自己犠牲的な考え方となる。自己利益の最大化のためには、たとえ国が滅びようと、減税とバラマキを主張するべきである。党が短期的な利益を最大化するためには、その主張こそが正解となる。
ただ、減税とバラマキを進めていけば、通貨の信用性が崩れ、自国通貨安によるインフレが起こる可能性が出てくる。歴史の教科書を読めばわかると思うが、インフレは国を亡ぼす。ビジネスサイクルによる不景気は、一時的な痛みと調整は伴うが、必ず回復する。ただし、人口減や国際競争力の低下に起因する潜在成長率減としての経済衰退に関しては、財政的なツールは一切効果がない。
自民党は、長期政権を任されたがゆえに、人気が落ちるとバラマキを適度に行ってきた。一方で、露骨な減税はなかなか難しいというものの、増税せざるを得ないような財政状況の中、増税をしないという選択を長期的に行ってきた。自民党は、中選挙区において自分たちしか政権を担える政党はないという、ある意味左団扇的な考え方が出来たので、20年先の未来を見据えながら政権担当し、ポピュリズム的な露骨な減税・バラマキ路線は控えていた。その流れが急激に変わったのは、政権を奪われて危機感を抱いた安倍政権の時である。
私は、国の形として、無駄なコストがなるべくかからない社会を目指すべきだと考えている。それこそが民間の活力を最大限に活かせる社会だと信じている。税金は無駄なコストであり、低ければ低い方が良いに決まっている。物価や取引コストだけが高騰するインフレは望んでいない。そのようなインフレは財産権の侵害である。私の銀行口座にある現金は目減りする。減税・バラマキは悪いインフレを引き起こすという意味で、絶対にあってはならないと思う。だから、バラまけば増税はせざるをえない。だからばらまくな、という話になる。
いずれにせよ私は、政治家にバラマキをなくすように求めたい。個人がなるべく個人で負担し、政府が無駄な干渉をしない社会を作るべきである。しかし、それでも社会のコストは発生してしまう。最小限の軍備費や、最低限の社会保障は、負担せざるを得ない。それらに関するコストは、社会全体で公平に負担するべきだと思う。このコスト計算に関しては、政治的な気心を加えずに、機械的に計算するべきだ。政治家は「使う」金だけに集中し、「取る」金の話はすべきではないと思う。両方の議論を政治家がすれば、無駄な議論だけが行われ、結局、大きな政府が支配する縁故社会主義の衰退国家の枠組みが壊れることは無い。
野田元首相みたいに、自己犠牲の上で、自民党がしなかった増税を決行した人が責められるような社会というのはどうかと思う。タイミングがどうかなど、色々な議論があるのは解るが、結局、誰かがババを引く必要があったのを、自己の利益を犠牲にして、自分からババを引きに行った事をどうとらえるか。このあたりの議論を真面目にしてほしい。
どちらにしても、バラマキをなくす政治家を私は選びたい。教育無償化反対。社会保障や医療費負担の縮小。軍事費の縮小。中央・地方政府の縮小。民間でできる事は民間で。物価対策は禁止。農業補助は取りやめ。公共工事は透明化プラス利用者の負担。JRや公団などの似非民間会社の競争促進。公正競争規約導入の徹底。第三セクター、社団法人、NGOに対する政府からの援助禁止。徹底的な規制緩和。国による認可業事業の禁止。このあたりを徹底して、日本の形を変えて欲しい。
維新の会はこういう事を考えていると思っていたが、はっきり言って、がっかりだ。ただの権威主義政党に成り下がっている。
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