健康増進法改正案に、「飲食店では禁煙が原則禁止」などといった対策が盛り込まれるというのだ。国が民間の営業に介入するのは、自由主義の我が国においては憲法に抵触する可能性のある間違った考え方だと思う。この法律によって、小規模の個人経営の店の経営が大打撃を受ける可能性がある。国の政策によって大規模店舗に恩恵を与える事は、間違っている。日本は社会主義国ではない。
欧米では、建物内を基本的に禁煙にしている市町村が多々見受けられる(全てがそうではないという事に注意が必要)。これで不自由を感じたことは余りない。レストランやバーでは、喫煙者は店の外に行ってタバコを吸うか、テラス席などに陣取る事になる。欧米に行き、こういった風景を観察した日本人のエリート紳士淑女たちは、これこそが喫煙のあるべき姿だと考えて、日本でも同じような事をさせようと企んでいる。
アホか、と言いたい。日本の繁華街の方が欧米各地にあるダウンタウンと比べても、ずっと楽しく安全である。新宿、渋谷、新橋、梅田、難波、天神、すすき野。このあたりよりも賑わっている欧米の街を私は知らない。多様な店舗が入り乱れ、小さな店が一杯ある。日本の繁華街は、個人のアントレプレナーシップの塊である。これは世界に誇れる日本の良さである。そして、そういう所で日々努力している経営者たちのアントレプレナーシップを、霞が関の官僚や虎ノ門の外郭団体が邪魔する事はあってはならない。
日本の都心でテラス席を備えたような飲食店があるのか、と。繁華街の個人経営の飲食店は雑居ビルの中にあることが多い。新橋の小さな居酒屋で食べたとしよう。或いは阪急東通りの居酒屋でも良い。タバコが吸いたくなれば雑居ビルの外に出て吸うのか?その方が副流煙で周りに迷惑になると思うのは私だけだろうか?個人で営業しているような店で、分煙と喫煙を分けられるような広さを持っているところばかりではないと思うのだ。テラス席を作れるのは、チェーンのコーヒー屋と大会社がバックに経営している居酒屋くらいの物である。
日本ではタバコは政府に認められている嗜好品である。昔は多くの人達がタバコを嗜んでいた。で、繁華街の飲食店の多くも喫煙をする人たちを念頭に店舗経営のコンセプトがなされている場合も多い。「小さな店舗でたばこを吸いながら時間をつぶす人に飲食を提供するようなサービス」というビジネスモデルが国の介入によって否定される事は間違っていると思うのだ。
単純な話で、「全席禁煙」「分煙」「喫煙席有」「喫煙可」という英語表記をつけたサインを店の前に貼る事を義務付けるだけですべては解決する話である。店に入るかどうかは客が選べば良い事だ。経営者は自分たちの経営方針に従って、どうするかを決めれば良いと思うのだ。そうすると、流行っている店は基本的に禁煙を選ぶと思う。逆に、流行っていないところは喫煙可などとして色を出してくると思う。それこそが自由経済の国のあるべき姿である。
私が勘繰るに、コンビニや大規模チェーン店は禁煙条項で得をするのだと思われる。居酒屋に行かずに中食しようとか、どうせ禁煙なら他も禁煙にしろ、とか考えているのだろう。そういう大型店舗の後ろには商社がついており、商社が必死に厚労省の政策を後押ししているのではないか、とさえ勘繰ってしまうのだ。こういう事を許可すれば、小規模な店舗の多様性が損なわれ、日本中が大規模なショッピングモールになってしまうのではないかと危惧している。ビッグブラザーはいらない。日本は社会主義国ではない。
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