自民党総裁選では、小泉があっさりと勝つんだろうな、と思っていた。
発言などを聞いていると、小泉は確かに頭がちょっと悪い気がする。安倍晋三と同じくらい頭が悪い。ただ、育ちはいいし、雰囲気もある。軽い神輿は担ぎやすい。話している方向性は、都会のサラリーマン層であれば納得いくものである。小泉を選んでおけば、自民党は普通に過半数を維持できそうだ。
しかし、蓋を開けてみると、まったく違う動きが出た。石破と高市が決選投票でコマを進めてきたのだ。
高市は愛国主義者に担がれて、極右的な政治ポジションを取っている。アベノミクスを支持すると言えば聞こえは良いが、バラマキと減税を同時に進めようという、経済の事を理解していなさそうなヤバい話をしている。利上げに反対だとか、日銀の独立性そのものに挑戦しようとさえしている。
一方の石破は、政策通というタイトルで語られることが多い。私の眼には、Make Japan Great Againの政治家に映る。防衛関係に関して、現法の矛盾を指摘し、それらを是正すべきという方向性に関しては、まさにその通りだと考える。一方で、防災相とか、正直どうでも良いと思う。パーマネントな省庁を作れば、やることがないときはどうするのだろうか?また、地方復活のようなスローガンをずっと掲げ続けている。これは、つまるところ、農政改革はする気がない、地方にはばらまくぞ、という政策である。
で、自民党員の票は高市と石破に多く入った。つまり、自民党員とは、国粋主義の権威社会主義にロマンを感じてる層と、田舎へのバラマキで利益を得る利益集団関係者の集まりなのである。都会に生きているまともな自民党の先生たちにとって、この究極の二択であれば、普通の議員であれば、「相対的に」安全パイな石破に入れるのは火を見るより明らかだろう。
小泉や河野のような、選択的夫婦別姓、JAなど農政の改革、バラマキの禁止、解雇規制の緩和、デジタル行政化など、都会に生きる中産階級の人間が求める事は、悉く無視される。自民党は、田舎の利益団体や、神道を信じているような国粋主義者に固められた政党であり、都会の労働者である私の利益は蔑ろにされてしまう。JA会員や田舎の土建屋関係者であれば、そりゃ石破さんに入れるだろう。
今までは派閥政治という名のフィルターでぼやかしていたが、日本の政治もアメリカやヨーロッパのように右傾ポピュリスト化してるんだな、と改めて気付かされた。
自民党の支持母体の党員たちに選出された石破政権を応援する気には全くなれない。総選挙があれば、都会の雇われ労働者に恩恵を与えてくれそうな政党に一票を入れたいと思う(そんな政党、あったかな??)。石破政権は、下手したら2か月未満の極短期政権で終わる可能性すら出てきたと思う。