最近、かなり気になる動きが出ている。物価は下がっているにも関わらず、資産価格が実体経済を無視して騰がり続けているのだ。インフレ云々の話の根本は、物価と資産価格は概ね同じような動きをするというものであるはずだ。インフレとは、「物価が上がる事」というように単純に理解されている場合が多いのだが、根本的な経済学的にはお金の価値が下がる事に注目しているわけだ。昨今の株や不動産の値上がりは、間違いなくお金の価値の毀損により起こっているとしか考えられないわけで、悪性のインフレが日本を襲い始めているのではないか。
日銀がじゃぶじゃぶお金をパンプしていたが、いままでは国境の穴からお金が外に漏れていたと思われる。が、コロナの影響もあり、お金が国内にある程度溜まってくると、国内の資本が高騰しようとしているのだ。一方で、消費者物価は全く上がらない。これは、日銀がお金を刷った所で、投資などをするセクターが国民の生活基盤からはかけ離れているからだと思われる。つまり、大勢の普通の貧乏人共と、政府にアクセスできる守られた特権セクターという、二つの違う世界が日本には同居しているのだろう。社会的に構造が出来上がってしまっているので、この二つの世界はデカップリングを起こしているのだ。
資産価格がヒートアップしすぎれば、普通であれば日銀はどこかで引き締めを始めなければいけないが、そうなれば一般市民の生活は「お・終・い・Death」。原因は解っているが、どこにも行けないタコつぼにはまる訳だ。つまり、株価や不動産は上がり続けるしかない。ヤバい道に突入し始めているのだろう。
どちらにしても、利率を少しいじれば、資産価格は瓦解するし、国債も崩壊である。全部「お・終・い・Death」。ヤバい。チェックメイトを千日手で逃げている状態じゃないか。