友人の中には、アメリカのバブルを心配する人たちが結構大勢いる。私は杞憂だと思うのだ。羹に懲りて膾を吹く程度の話しだと思う。景気は登り小口にやって来た程度で、今から山頂を目指すという認識が正しいと思う。ただし、色々な外部環境が変化しつつあるので、ポジションの整理などには細心の注意を払う必要があるだろう。
1.アメリカの株価は上がり続けている。2012年の5月から6月以降、S&P500はコレクション(調整)を経験していない。異様に長い期間であり、実体経済と株価が乖離していると考える人達も大勢いるだろう。しかし、売上や利益が上がっているというのも事実である。そして、ROEやPERと言った指標を見ると、株価が極端に高いという事実はなく、2007年以降の様に株式市場がメルトダウンする心配は杞憂だと思う。しかし、割高感が多少出て来ており、10-20%程度の調整はいつ起きてもおかしくないだろう。一方で、調整さえ入ればどんどんと株式市場に参入したいという人達が増えており、中長期的には「買い」である。
2.IT、特にSNS株、バイオテク株、そしてジャンクボンドなどに極端な割高株が見受けられる。そういった株は、いずれ調整を余儀なくされるだろう。フェイスブックやリンクトインは半分くらいになってもおかしくない。ツイッターに至っては10分の1でも高すぎると考えている。株価に調整が入れば、ベータが高いこれらの株価はかなり落ち込むと考えられる。ジャンク債などに至っては、一旦売りサインが出れば、買う人は現れるのかどうかすら怪しい。
3.アメリカの住宅市場は堅調だ。2011年ごろに底を打った感があったが、アパートの建設から、愈々一戸建ての建設に軸足が移って来た。経済が堅い地域では、住宅の数が足りない現象が起きている。住宅を売る方も、もう少し粘ってみようとする人が多く、中古市場も在庫が少ない。住宅価格が高くなっている一因に、家賃の高騰が挙げられる。家賃が高騰した以上、住宅価格の高騰はおかしな現象ではない。利率が低いから住宅市場が好調だという人もいるが、最近のアメリカ住宅市場では、日本の様に現金購入者が多く、ローンを組んで住宅を購入する普通のアメリカ人は住宅市場に飛び込みにくい状況になっている。これは過去にカナダのバンクーバーやトロントで良く見られていた現象であり、アメリカでもこういった傾向が数年は続くと見ている。
4.労働市場はすこぶる良い。しかも、給料が上がっている。つまり、アメリカはインフレ状態にある。インフレ下では、現金を極力持たず、アセットを持つのが正解だ。銀行口座の預金を少なくし、株や住宅といった資産を購入するのが身を守る方法である。債権はどんどん処理するべきだが、FRB以外に一体誰が買うのか?この問題が表面化する3-4年先、アメリカの景気は折れるだろう。
結論:アメリカ経済はまだまだ調子よく上がっていく。3-4年は続く。しかし、利率が上がるにつれ、バーナンキのヘリコプター政策の矛盾が露呈していき、インフレにより、個人の負担が増えていくと思われる。言い換えると、次の10年程度は好景気と悪景気の普通の景気循環が起こる。バブルの心配をするのは今ではない。2-3年待ってから心配せよ。逆に現金や国債などの安全資産を保有すると、かなり痛い目を見るだろう。