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1月, 2007の投稿を表示しています

教育論(2) NPOと社会

私は5年以上もアメリカで暮らしているのだが、そうするとアメリカの良い面も悪い面も公平に見えるようになった。人並みな感想だが、アメリカという国がとてつもなく豊かだと感じる一方で、様々な矛盾を抱えているとも感じる。だからと言って、アメリカに対する批判をする必要は無く、日本人としてアメリカが持つ優れたシステムだけを戦略的に取り入れていけばよいのだ。 日本とアメリカを比較した際、私が思うに、一番の違いは「社会システム」である。日本の「社会システム」は、残念ながらアメリカのそれと比べて30年は遅れている。社会システムを態々「」で囲っているのは、その定義が非常に怪しいからだ。故に、マクロな視点からではなく、ミクロなケースで見ていく必要がある。例えば、NPOの話をしたい。 日本でNPOと言えば怪しげな団体を思い浮かべられるかもしれない。社会主義者や左翼の吹き溜まりが、NPOと称して活動をしている場合も確かにある。日本ボーイスカウトや交響楽団、町おこしを活動している団体など、長期間に渡って実績を持つ優良なNPOも多々ある。しかし問題は、政策に関わるような洗練されたNPOは皆無であるという事だ。 アメリカではNPOが社会に密接に関わっている。例えば環境系のNPOであれば、町の小さなNPOでさえもPhD(博士号)取得者がいるのには驚かされる。独自の調査やパブリケーションを行い、市や州政府に政策の進言をしている。同時に経営の専門家もいて、資金面での遣り繰りも巧く行っている。大学生や院生たちがインターンとして活動に参加する。NPO同士、或いは大学や政府と組んで、リサーチやプロジェクトを行っているのも興味深い。政府は、自分たちが出来ないプロジェクトは直ぐにNPOに外注する。GIS(地理情報システム:コンピュータによる地図作り)や魚のポピュレーション調査など、政府が限られた予算や人員で全て出来る訳がないからだ。NPOは、サーモン専門、鳥専門、湖沼専門、地図製作専門、政策専門、ロビー専門、調査専門、市民とのコミュニケーション専門など、活動が特化している場合もある。 さらに、人材の流動性が面白い。先ほども言ったが、大学生や院生で環境に興味がある学生がインターンとして働く。大学を退官した教授などが、NPOの活動に参加する。大学院で学位を取った人達が、初めてのキャリアとしてNPOを選ぶ。政府で働いてい...

初等教育改正の意義

昨今推し進められている改革の一つに教育も含められていることは皆さんご存知だろう。教育基本法の改革が進められているし、国立大学は独立行政法人に変えられた。マクロ経済の理論では、短期や中期の成長は利率や政府の支出などのテクニックである程度操作できるものの、長期的な経済成長は技術革新と人材の能力を上げることでしか成し得ないとされる。技術革新も人材の能力も、根本的には教育が齎すものである。つまり、将来の日本が成長を続けるためには、王道など無く、地道に人々に適切な教育をするしかないのである。故に、教育は国家の長期的な政策として最も大切なものであり、逆に、教育問題を語る際には長期的な経済成長がゴールとなることを認識するべきだ。 昨今の国レベルでの教育改革の討論の内容を聞いていると、ゆとり教育の弊害、学級崩壊、いじめ・自殺など、初等教育において現場で実際に起こっている問題ばかりが取り上げられている。勿論、多くの人にとって、これらの問題は生々しいものであり、関心が高いことは頷けるが、このような問題を国が解決するべきかどうかという点で納得がいかない。第一に、教育基本法を改正した程度でこれらの問題が全て解決するわけがない。時代遅れの法を改正することは当たり前だが、それに高望みはできない。さらに、改正に何らかのイデオロジーを持って反対し、この問題を遅延させるのは理解に苦しむ行動だ。第二に、いじめなどは、どんなに金を掛けて、どんなに素晴らしい法律を作ろうが、絶対になくならない。いじめや自殺を無くすために教育改革を訴えている人がいるとしたら、全く馬鹿げている。いじめや自殺を防ぐのは社会全体のシステムを変えなければどうしようもなく、教育が口出しできる範囲は狭い。また、国家が現場のいじめを防ぐことなど出来ないので、これは現場の問題なのだ。第三に、無理な話だが、仮に国が大量のお金や時間を割いて、公立小学校の学級崩壊を完全に防いだとしよう。一体それでどれだけの成果が得られるのか?学級崩壊が無くなれば不景気は消え、雇用は増えるのか?ニートが本当に減るのか? 教育問題を話し合っている人達におかしな人達が混じっているのは看過できない。教育の専門家は、教育理論のみを研究しているのか、宗教がかった事ばかりを喋っている。個々の価値を尊ぶ、云々、哲学やイデオロギーを流布する必要などない。大学で研究する人間であれば...

新年の挨拶に代えて

やり残した仕事が大量に残っていたため、年末に無理をしすぎたせいか、長い間ダウンしてしまった。コンピュータの前にずっと座って不規則な睡眠時間をとりながら仕事を続けると、気づかないうちに疲れが溜まってしまったようだ。胃腸の機能が低下したので、流行のノロウイルスかと思い病院に行ったのだが、疲れが溜まっていると窘められた。1週間以上もお粥とジュースという生活が続き、食事の話など書く気も起きなかった。 一部の熱心な読者には大変ご迷惑をおかけした。私が全く更新していないも関わらず、頻繁にアクセスして頂いている様だ。1週間に1回は最低でも更新するので、今後ともよろしくお願いしたい。 病気で寝込んでいる間に、我がシーホークスは、プレイオフのワイルドカードを勝ち進んで、日曜日にシカゴベアーズと対峙する。ダラスカウボーイを救ったシンデレラボーイ、トニー・ロモのラッキーなお手玉のお陰で転がり込んできた勝ち星ではあるが、運もスポーツには必要な要素だ。ベテランクオーターバックのマット・ハッセルバックと昨期MVPを獲ったランニングバックのショーン・アレクサンダーが怪我で数試合を不意にしたせいもあり、今シーズンのシーホークスは昨期ほどの勢いはない。しかし、シカゴベアーズのレックス・グロスマンが数週間ほど前に何度もグリーンベイパッカースにインターセプトされたのを見ていると、少しくらいはチャンスがないかな?と思っている。 他のプレイオフは、ペイトン・マニングのインディアナ・コルツが、どれだけボルティモア・レイブンスのディフェンスを崩すかが見ものだ。インディアナか?ニューオーリンズ・セインツの神がかり的な活躍を見ると、二年前のMVPドノヴァン・マクナブを怪我で欠くフィラデルフィア・イーグルスにはあまりチャンスはないだろう。トム・ブレイディーとニューイングランド・ペイトリオッツは、強いとはいえ、昔の威光は無くなった。今年のサンディエゴ・チャージャーズは優勝候補筆頭の最強軍団。打ち崩すのはほぼ不可能だろう。 スーパーソニックスは、レイ・アレンが復活したと思えば、次はラシャード・ルイスが手を骨折して戦列離脱。見るのも悲しい体たらくぶりだ。今年から入団したフランス人のミカエル・ジェラボールは予想以上の動きを見せている。ルーク・リドナーがスターターの地位を「自己中」アール・ワトソンに譲ったのは気に入らないが、燻...