世界的な物価高騰は予断を許さない状況にあるとして、大なり小なり様々な物価対策が行われている。燃料費の助成、電気代の助成、小麦、肥料、飼料の助成。地方自治体からは、商店街の商品券から給食代の助成まで。そう言った事をやるのが政府の仕事だと言わんばかりである。
一方で、防衛費の増額を決めた財源を、増税に頼るという様な話が出ると、メディアは一斉に政府を批判する。
私は、如何なる助成にも反対する。燃料や食料を含むコモディティ価格が高騰しているのだとすれば、それは一般市民が負担するべきであり、政府が財政から負担するというのは完全に間違っている。高いものは高いのである。結局は誰かが負担しなければいけないのだから、行政機関を通して分配する意味が解らない。市場に任せておけば良いのだ。
不安定な世界で安定を望む人たちが、政府を頼り、政府を介さなければ商売にすらならないような環境を作っている。
最近、周りで景気が良い人たちは、ほとんどが公金に頼っている人達ばかりだ。独立して会社をおこした知人は、行政のシステムの請負をしている。建築で広く力を発揮している人は、公共物件のデザインをしている。あらゆるところに、政府の経済が張り巡らせてあり、民間の力を発揮する場所がどんどんと狭まっている。気づかぬまま完全なる社会主義に移行しているわが国日本。
社会が物価を低位で押さえつけようとし、無駄な規制で仕事を作る事を優先し、結果として、自然利子率は低くなり、財政は悪化し続け、自国貨幣は目減りする。未来に全くの希望が持てない。
そういった国において、子育てを真剣にやりたいという岸田首相の政治的な嗅覚に、私は心の底から侮蔑してしまう。