8/02/2012

プレーしている選手ではなくて、テレビで視聴している観客に迎合する商業主義オリンピック:バドミントンの意味不明な失格に意見する

IOCの横槍の元、バドミントン連盟が下した処分には辟易とする。バドミントンの規約に「全力で戦う事」というものがあり、それに対して4チームは無気力で望んだために失格だと言う後付けが発表された。全力で一つでも上の順位を目指していただけである。失格になったチームは観客のブーイングを浴びようとも審判に白い目で見られようとも、必死に星を落としにいった訳である。インターネット上に落ちている映像を見て欲しいが、あれほど自分たちに有利になるように馬鹿正直に負けようとしている選手達を見た事があるだろうか?特に中国と韓国戦。お互いが完璧なまでにあから様に全力で負けようと戦っていた。目的はただ一つ。一つでも上を目指すために。負ければ決勝まで趙蕓蕾-田卿ペアと当たることなく、ほぼ銀メダル以内が確定される。勝てば銅メダル止まりになる可能性がでてくる。長期志向で戦えば、負けるのが理論に適う。これを品性がないだの、試合を侮辱しているだのと言っている人がいるが、要約すると「オリンピックの試合はそれぞれが完全なる見世物であらんために、余りに露骨な事をしないで欲しい」という事になる。運営側が試合の途中で、これ以上するとディスクオリファイさせるぞと脅しているが、果たして選手は英語を理解したのだろうか?

負けた方が有利になるような試合形式を作っておいて、モラル云々を騙る連盟や大会運営側に虫唾が走る。オリンピックと言う商業ベースの見世物で観客から批判されるような行為があったから失格させたと声高に言うべきである。IOCとバドミントン連盟こそがディスクオリファイされるべきであるのだ。そしてソファーの上でポテトチップスを齧りながら「スポーツ精神にもとる試合をするな!」などと叫ぶ視聴者達。「メダルを獲れればなんでもいいのか?」などと戯言をほざく視聴率主義の偽善メディアたち。アスリート個人の人生としてはメダルが全てに決まっている。それで人生が変わるのだ。ルールにのっとり必死で上を目指すアスリート達を「見世物小屋のたこ女」扱いする姿勢は軽蔑されてしかるべきである。

今回の件は大活躍する中華人民共和国や大韓民国のチームが失格になったので日本人の間では小気味が良いニュースとして捉えられている。しかし選手達は馬鹿正直な長期戦略重視の取り組みをしたら失格になったのだ。「なでしこ」のようにもう少し賢くやれば良かったと示唆する人達もいる。フェイクな偽善がオリンピック精神なのか?選手はメダルで人生が左右される。小学生の運動会じゃないのだから、薄っぺらい「オリンピック精神」などを振りかざすのはやめて欲しい。

なでしこサッカーの話は語り尽くされている感があるが、水泳の予選で余裕勝ちしている選手が体力温存のために「流す」のはオリンピック精神に反する行為なのか?内村が安全策で鉄棒でコールマンを抜いて無難にこなしたのはどうなるのか?冬季五輪のフィギュアの安藤のように無理矢理リスクの高い四回転を狙ってこけるのがオリンピック精神なのか?今回のバドミントンの一件はいかなる規則にも抵触していないが、金蔓である観客側の視点で「やりすぎ」だと判断されたから失格となったというのが本音だと思う。

一位通過の中華台北(笑)チームと二位通過の日本チームだが、趙蕓蕾-田卿組と与した台湾チームは惨敗。一方でデンマークとあたった日本チームは余裕勝ち。日本チームは次も比較的楽なカナダと当たることになる。もしこれに勝てば棚ボタの銀メダル確定である。趙蕓蕾-田卿組に勝つことはないので、銀が一番上の色という事になろう。しかし銀メダルを貰う本人達は納得できるのだろうか?IOCに抗議するためにも、スポーツマンシップに則り受け取りを拒否するくらいの「オリンピック精神」を見せて欲しいものだ(笑)。決勝で趙蕓蕾-田卿組に勝負にすらならずにぼろ負けしてしまうと、この意見が主流になると思う。

しかし、いつもは誤審などで不利を被る事に慣れている我が国であるが、この大会は勝利の女神が日本に微笑み続けているとしか思えないのだが、どうだろうか?今回の失格騒動で一番得したのは、中国の趙蕓蕾-田卿である事は忘れないで欲しい。干洋組が順当に進んできて、準々決勝で対戦していたら、もしかしたらメダルすらなかったかも知れないからだ。或いは韓国組に一杯食わされていた可能性もあり得る。しかし4チームが失格になったために、金メダルはほぼ確定したと言っても過言ではないだろう。

各競技において、勝負になるのは明らかに数カ国に限定されているのに、無理矢理「全世界」が参加していると言う幻想を当てはめようとしている事に無理がある。競技人口が少ない国から連れてくるレベルの低い審判団の存在もそうだが、体操女子予選の全体の4位なのにアメリカの中では3位だからオールアラウンドに出場できないなどという実力主義をゆがめる様な大会運営方針に疑問を感じる。

バトミントンにおいても、ワールドランキングで4位と7位にランクされている中国女子ダブルスはハナから出られない訳だし、11位の松尾内藤組や、14位の松友高橋組も出られていない。一方、インドやカナダなどは下位であるにも関わらず、その国の競技者が少ないからオリンピックに駒を進められた。中国ばかりが出場すると他国が関心を示さず視聴率が落ちるので、こういう措置をとっているのである。実力云々関係なく日本がメダル射程距離で試合に残れば、IOCとしては商業的に大成功と言う訳だ。世界ランク5位の日本の藤井垣岩組が、1位と3位は失格して4位は出場すらできなかった大会で銀メダルを取ろうとしている。さらにひどいのは、銅メダル戦が18位のロシアと27位のカナダの闘いであることだろう。銅メダルをもらえる根拠は運以外の何物でもありえない。

そもそもオリンピックの試合形式自体が「不公平」の温床である。ノックアウト方式でメダルを授与する事がそもそも馬鹿げている。金・銀・銅が実力を判断する基準であれば、ノックアウト方式ほど不公平な戦わせ方はない。ノックアウト方式こそが時間短縮と見ている側の射幸心を煽るスポーツマンシップにもとる大会運営方式である。柔道など、三位決定戦すらせず、敗者復活で上がってきた物を含む、二人に銅メダルを授与している。意味が解らない。

或いは、オリンピックやIOCに「モラル」や「公正さ」を求めようとしている私がただの馬鹿なのかもしれない。オリンピック組織がどのくらい汚れた物かを知らないとでも言うのか?こういった記事を書いている私こそが偽善者なのかもしれない。視聴者は自国がいくつメダルを取ったかだけに関心を寄せず、こういった馬鹿げた事に憤怒して欲しいと思う。オリンピックには直接・間接を問わず、多額の税金が使われている。視聴率主義のオリンピックにスポーツファンとして物申す権利が国民にもある筈だ。


          ┏━  A1 ※ロシア(18位) 
      ┌─┛ 
      │  └─  C2 ※南アフリカ(52位) 
  ┌─┤ 
  │  ┃  ┌─  B1 台湾(10位) 
  │  ┗━┓ 
  │      ┗━  D2 中国(2位) 
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  │      ┏━  A2 ※カナダ(27位) 
  │  ┌─┛ 
  │  │  └─  C1 ※オーストラリア(36位) 
  └─┤ 
      ┃  ┏━  B2 藤井・垣岩(5位) 
      ┗━┛ 
          └─  D1 デンマーク(6位)